
東京大学臨床疫学・経済学教授 康永秀生先生 目次編
独自の視点と卓越した才能を持ち、それぞれの分野の最前線で活躍する医療界のリーダーたち。彼らはどんな道を歩み、現在の活躍に至ったのか。連載「リーダーの履歴書」では、注目すべきリーダーたちがアウトプットしてきた3本の論文を紹介しながら、彼らの思考の源泉に触れていく。
今回の「リーダーの履歴書」には、東京大学臨床疫学・経済学教授 康永秀生先生にご登場いただきます。
#01 権威主義への警鐘
初志貫徹し公衆衛生大学院へ
6年間の外科医研修の後、公衆衛生の道に進んだ康永先生。日本の医療にEBMという言葉がようやく輸入されてきた頃で、医療現場では慣用的に使われている治療が再検証されることなくずっと続けられていました。康永先生はLancetに発表した論文で、薬害C型肝炎事件を通して権威主義の危険を明らかにします。

#02 DPC研究のはじまり
ハーバード大学John Ayanian教授との共同研究
DPCデータを用いた臨床研究の可能性を見出した康永先生は、ハーバード大学のJohn Ayanian教授にコンタクトをとります。ついにはDPCデータベース研究でAnnals of Surgeryへの掲載という実績をだし、その後は多くの共同研究が産まれることになります。その背景には、日本におけるリアルワールドデータベース研究のパイオニアとしての苦労、そして臨床現場と公衆衛生学との橋渡しになるという決意がありました。

#03 リアルワールドデータを用いた観察研究
観察研究でRCTの結果を再検証
康永先生たちはDPCデータベース研究論文を量産。その中でもイタリアからのRCTの結果を再検証した論文は、さらに多くの追試を受けるなどインパクトの大きい論文となりました。研究デザインをしっかり組んだリアルワールドデータベース研究は、RCTでなくとも、高いエビデンスを産み出せることを証明。それでも「大切なのは統計手法ではなく臨床医の感覚」という康永先生の言葉の真意は?

こちらの記事は2020年11月にQuotomyで掲載したものの転載です。