手術室でも医局でもない、
外科系医師に開かれたオンラインでの研鑽場所

「OPENOVA Akiba」開業インタビュー!外科医のためのコワーキングスペースでできること

2023年11月9日にオープンした「OPENOVA Akiba」。代表・大谷がクオトミー創業時から抱いていた悩みが出発点となっていますが、医師の働き方改革による環境の変化を、ポジティブに活用できる場となっています。
OPENOVA Akibaとは、どのような場所なのか――? 開業のウラにある想いを紐解きます。

医師の働き方改革のなか、手技を学べる場を!

── 最初にOPENOVA Akibaを開設したきっかけから、ぜひお聞かせいただきたいなと思うのですが。

僕が株式会社クオトミーを創業したのは、実は2017年12月で結構前なんですよ。
そん時は、今とは全く全然違うイメージで事業を作っていますと。
具体的に作ろうと思ってたサービスはあったんですけど、とりあえず創業して、そっから色々やること決めて、やっていこうっていうような、そのぐらいの軽い気持ちで作りましたと。

そんな時、病院の中にいると何も進まないというか、やっぱり病院の中には医療者が多くて、会社設立した後の動き方とか、どうやってインターネットサービス作るんだろうっていうのは、病院の中に必要な情報はなくて。
結構、外の世界にそれを求めて、結構出かけてました。
プログラミング教室に通っていたりとか、スタートアップのノウハウみたいなところは『note』読んだりとか『podcast』聞いたりしてて。手術とか病棟の業務が終わったら医局に戻って電子カルテを書くけど、その時間はもうただの手作業なんで、その時にpodcast聞きながら情報をゲットしてたんです。
そういう風にしてやっていかないと、どうしても臨床現場にいると医療とか患者さんのことずっと考えちゃうんで、なかなか切り替えがうまくいかなかったっていうのがあって。
自分の創業初期、結構大変だったなというか、オンオフを切り替えるのがすごい難しかったっていう体験が1つあります。

そっから割としばらくたって、CTOとかも入ってきた後に、アクセラレータープログラムっていうのに参加するようになって。
そういう、スタートアップとかVCとかの人たち、もともと自分たちの周りにいなかった全然違う業界の人たちが頑張っている場所に顔出すと、結構いろんな情報も入ってくるし、こうやってみんな事業を前に進めてるんだなって横で見てたのがすごい良かったんですよね。
自分たちも進捗していかなきゃいけないっていうのが分かるというか。
そっから割と切り替わっていって、2020年の5月かな、VCさんから本格的に調達したんですけど、それにつながったなって思って。
そういう、本当に創業初期の1人でなんかしてますみたいな時に支えとなるような場所とかがあるといいなっていうのも1つです。

── OPENOVA Akibaの具体的な話が進んだのは、それこそ2023年に入ってからと伺っています。

多分僕、2ヶ月ぐらいして開設してるぐらいのスピード感でやってるんですよ。

コロナ禍も明けて、リアルで人が集まるのが戻ってきてるっていう流れがどの業界にもあると思うんですけども、やっぱり医師もすごくそういう熱量を学会の時とか感じるようになってきてて。
で、学会としてもハンズオンセミナーとか、結構手にとって触るみたいなとこに注力してる流れがあるので。
さっきスタートアップの話してましたけど、実際の臨床現場で活きる新しい技術とか製品を理解するには、結構手に取って触んなきゃいけないよねっていうのは、本当そうだなとコロナ中にずっと感じてたんで、そういったものができる、コミュニケーションの場になればなっていう思いがふつふつと芽生えてた中、タイミングとしてはちょっと早かったんですけどね。

あと、2024年4月からの働き方改革で、医療の現場でオンザジョブトレーニングとして日中の業務時間に手術とかにずっと入って、その後に病棟業務をやって救急患者さん見てっていう働き方が多分できなくなるトレンドがあって。
そうなると、手術の手技的なことを学ぶ時間が、多分勤務先で減るんですよ。そういった時に医局に残ってても、時間外労働じゃなくて自己研鑽という言葉でお金もらえるわけじゃないんだから、もっと学ぶことに専念したポジティブなモチベーションが上がるような場所で、自己研鑽するっていうトレンドを起こしたいなと思って。

自己研鑽に集中できる場を作りたかった

── それで、OPENOVA Akibaを作ったと。

医局だとやっぱりなかなか自己研鑽に専念はしにくいですしね。それは自分の経験もあって。
やっぱり指導的な立場から色々言われたりとかちょっとした作業が入ったりとか、あとは病棟の看護師さんからPHSに連絡があるとか結構あるんですよね。他科の先生から「ちょっといいですか?先生、相談したいです」とか、めちゃくちゃ声かけられるとかあるんで、そうなると、結構、自己研鑽に集中するのって難しいんですよね。

だから、最初の自分1人で何かするときに集中できる場所が欲しいっていう思いと、あとは病院で働いてるドクターが自己研鑽するのに集中する場所があったらいいんじゃないかっていう、その2つの思いから、作りましたね。

どうしても勤務先でやってる臨床に地続きでつながってるものを学ぶっていうのも大事なんですけど、やっぱりコロナの2年間ぐらいでウェビナーとかオンデマンドコンテンツやってた時に、みんなが自分の病院とか自分の医局っていう自分の居心地のいい、コンフォートゾーンみたいな所の手技だけじゃなくて、結構いろんなものに触れたと思うんですよね。
その時に「自分のとこはこうやってるけど、他の世界に行くとこんな面白いことあるんだ」って気付いたりした人がわりと多かったんじゃないかと思います。

もともと学会で友好関係作るのが上手な人は、そういうことできてたと思うんですよね。
だけど、それがすごく民主化されたというか。
そんな雰囲気が、コロナの時のポジティブな一面としてあって。
そういう意味で言うと、労働時間が終わった後、自分の病院で地続き的なことを作業するんじゃなくて、自分がいろんなことにチャレンジできるんだ。
それがスタートアップじゃなくてもよくて、論文書くとか、次のキャリアにつながる何かをやるとか。
その時に、勤務先じゃなくてもいいんじゃないか
と思ってるんで、そういう場所があればいいかなと思ってました。

あとヒントになったドクターの行動としては、学会の出展ブースとかでずっと見てると、結構ドクターの方が、全然作業環境良くないテーブルと椅子しかないようなちょっとした休憩所で、すごく集中してパソコンで作業してるんですよ。
これを見ての仮説としては、やっぱり院内のPHSを持ってない時のドクターの生産性はめちゃくちゃ向上してるのではないかと。
あとは空港のラウンジとかでも、すごくみんな集中して作業されてるの見てて、素晴らしいなと。
もともと能力高い人たちなんで、その生産性が見ててすごいんですよ。
今後は働き方改革で、オンオフ切り替えて病院を出てそういうことをするトレンドになるだろうと思ってまして。
東京都の秋葉原がいいかなと思って、ここでやってるって感じですね。

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「OPENOVA Akiba」のこだわりポイント

── 秋葉原にした理由は?

そうですね。やっぱり御茶ノ水のポテンシャルをすごく感じてて。そもそも利便性がいい場所、かつ近隣に大きな大学も多いし、病院も多いと。
で、東京以外の方って東京駅に来ることが多いと思うんですけど、御茶ノ水はそっから2駅で来れちゃう。
東京の中にいてもアクセスが良くて、東京都外の人にとってもアクセスがいい。
しかも医療のハブになれるポテンシャルがある場所だなと思ってました。

で、物件探してる時に御茶ノ水から探してったんですけど、ちょっと秋葉原に降りてくると、たまたま窓が大きくて、道路に面してるすごくいい場所があって。
秋葉原っていうネーミングが電気街っていうイメージから、もうちょっとクリエイティブな何か新しいことが生まれる、カルチャーの発祥地みたいなちょっとポジティブな要素もあるんじゃないかなと思ってて、秋葉原にしようかなと思いました。

── 確かにJR御茶ノ水駅もですし、秋葉原駅も、あとは、都営新宿線ですとか、東京メトロの丸ノ内線とか、どこからでも大体10分弱ぐらいで来られるので、ほんとにいい立地ですよね。
最初の思いを先ほどお話いただいたんですけども、それを踏まえてこだわったところとか、推しポイントをぜひ教えてください。

自分が留学してた時のカフェがイメージにありまして。カフェって居心地がよくて、すごくみんなが集まりやすくて、なんか作業しやすいっていうので使われてると思うんですけど。
わりと黒と木目調のところが多くて、それをベースにしたデザイン
にしてもらったっていうのがあります。

あとは留学先の図書館に、すごく大きな窓に向かって、ソファーが並んでたんですよね。
そこでみんな本読んだりとか、ちょっとナップしたり。
「パワーナップ」って僕は呼んでましたけど。google本社とかでも昼寝できるスペースがあるんですよ。
それをすると作業の生産性上がると思うので、結構それは意識して作りました。

あと、めちゃくちゃこだわりは、やっぱりオペ関連のハンズオンだとか、トレーニングルームみたいなのがあるといいと思っていたので、スタジオ機能がついてるような一角を作っています。
なんとなく色調は手術を連想させるような灰色基調で、モニターもあるんでカメラを使った手術手技だとか、模擬骨で作業してるのをみんなに向けて見せることができます。
あとは、新しいテクノロジーとかで、例えばVRヘッドを使って何かをするみたいなのが医療に活かせるんだったら、そういったものも映し出すこともできるとか、そんな場所を作っています。

もちろん誰か全然違う人と交流するんじゃなくて、例えば医局の皆さんの勉強会とか、医局の勧誘会とかで、こういうサードプレイスみたいなところに集まると、結構色出せるし面白がる若手は多いんじゃないかな。
と思うので、ちょっとしたクローズドな集まりにも使ってもらいやすいような大きさにしてますね。
もちろんスクリーンもあるんで、普通の講演会とかもできるし。

── 勧誘会はこれからの季節ですかね。

医局長からのご連絡お待ちしております!

── 着席だと60名くらいは入れますよね。立食みたいな形だったらもう少し多く入れますし。

そうですね。ケータリングで立食での懇親会みたいなのやったんですけど、結構動きやすくて。わりと新しいスタイルかと思いますね。

模擬手術スペースと相性の良い手技は?

── 模擬手術ができるこのスペースでは、もう少し具体的にどういったことができるんですか?

今のところ相性良くてメーカーさんともお話できてるのは、手術って本番じゃないですか。
なので、いきなり本番ができない手技を学ぶのにいいと思います。
具体的に言うと、大抵1人でしかできない手技だと見てるしかないと思うんですけど、だんだん低侵襲になってきて手術の現場にいても見れないとか、実際自分がやることができないっていうような環境にあったりすると思います。
そういう内視鏡とか関節鏡とかの手技って、結構学ぶ機会が限られてると思うんですよ。
そういった時に、モニターを使ってハンズオンセミナーとかできればなと思ってたりします。

あとは手術じゃなくなっちゃうんですけど超音波診療
患者さんと1対1の外来の現場でやんなきゃいけない。
で、麻酔もかかってないから患者さんが起きてる状態の時に、なんかめちゃくちゃあたふたやってたりとかすごく時間がかかってると、とっても格好悪いんですよね。
僕は結局臨床に応用できたことはないんですけど、そういったものっていうのはやっぱりハンズオンセミナーとかの機会をもっと増やさないと、なかなか日常診療に落とし込めないですよ。
そういった一定のまとまった時間学ばなきゃ本番で使えない手技と1番相性いいかなと思ってます。

あとはすごく上手な先生の手技を見るのに手術見学行くのって、手術の日程に合わせなきゃいけないとか、何人も見学に行けないとか、あとは、その人との関係性がなきゃ行けないとか、メーカーとかがつないでくれるかもしれないんですけども、なかなか順番が回ってこなかったりするんですよね。
ってなると、こういった場所で我々のようなスタートアップが、高名で人気のある先生呼んで、ここで手技をちょっと模擬骨でだけど披露してもらって、そこで実際仲良くなることができるみたいな。
すると実際、本当の臨床現場での手術が予定入ったんだけどみたいな時に呼んでくれるような関係性が築けるようなことがあるといいんじゃないかな。
そういう交流の場としてもいいかなと思います。

── 確かに、そういう交流の場っていうのは、今までだと学会ぐらいしかないですからね。

学会でも偶然会ってその時に声かけるかっていうと、結構難しかったりするし。
そういった意味では、こういったところでミナーを受けて、仲良くなれるといい。

利用者にポジティブなエネルギーを与えられる場に

── これまでの話をまとめる感じになるかもしれませんが、どんな人に来てほしいかって、その辺りはどうですか?

そうですね。1人で何かチャレンジしていくとか、新しいことを学んでいくとかって、すごく力がいると思うんですよね。
で、そういうエネルギーって環境によって増幅することもあるし、すごく減退しちゃうこともあると思うので、ポジティブな雰囲気で運営していきたいと思ってます。

なので、少しでも何か思いがある人が集まってくれれば、コミュニケーションがそんなに得意じゃないなって人でも、その環境を横目で見てるだけで、わりと励まされるようなことになることが多いんで、そういった場所になればいいなと思ってます。
なので、そういう思いを持った人に集まってもらいたいと思ってたりします。

面白いことをやってるなって感じた人は、ぜひ一度足を運んでもらって結構体験してもらえれば。
1度来た人は、みんないい場所だねって言ってくれるんで。
とにかく、何かに面白いイベントがあるなと思った時に1度、気軽な気持ちで来てもらえればと、と思います。

イベントは結構これから増える予定ですし、まずは、ドロップインで1日だけ使ってみるっていうのもできますからね。

あとは、近くの病院とか大学病院の研究者の方とかも、起業してみるとか起業したとかあったら、1人でやってるんじゃなくて、ここ登記もできることになったんで、ぜひ一緒に、ワーキングスペースとしてだけでなく、登記住所とポスト使える場所として、一緒に作業とかももできたらなと思っております。

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